【ブレイディみかこ】ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー【話題本】

話題になっていた作品でしたが、2020年になったタイミングで読み始め、読了しました。
とても面白く、心を揺さぶられた一冊です。

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
スポンサーリンク

ブレイディみかこさんについて

この本の著者であるブレイディみかこさんは、福岡の高校卒業後、上京・渡英。英国で保育士資格を取得されています。
保育士としての仕事の傍ら、ライター、コラムニストとしても活動されています。

元底辺中学校への進学

主人公(著者の息子)は、英国で市の学校ランキング1位の公立小学校で生徒会長を務めていたいわゆる「いい子」であったが、中学への進学時に家から近い中学校を選びました。
その中学校は「元底辺中学校」で、人種や民族、性別などをきっかけに日々様々な事件が起こっていました。
そんな英国社会を表したような学校で、主人公がトラブルを乗り越え成長していく記録です。

レイシスト(人種差別的)発言をする同級生

主人公の同級生には、ダニエルという美少年がいます。
このダニエルが超人種差別主義で、彼の人種差別発言が問題となるのですが、実は彼の親も移民。
レイシストがいつも先住民であるというのは固定概念で、移民でも人種や階級によって様々なレイヤーが生まれてきます。
主人公は、ダニエルと仲良くしながら、レイシスト発言には厳しく注意するという強い姿勢を貫き続けます。

貧困と戦う同級生

主人公のバンド仲間であるティムは、低所得者用団地に住んでいます。
ボロボロになった兄のお古の制服を着ているティムに対して、著者はリサイクル活動で扱う制服の一着を渡そうとします。
しかし、「ただあげるのではティムのプライドを傷つけることにならないか。」と著者は悩みます。
悩む著者の前で、主人公がティムに一言。

「君は僕の友達だから。」

”力になりたい大切な友達だから。”
そんなノリで、気楽に友達に力を貸してあげられたり、助けてもらったりできる関係が、大人からみるととても頼もしく見えるエピソードです。

YOUは何しに日本へ?日本での苦い経験

著者は息子と一緒に日本へ帰った際に、一つの苦い経験をします。
酔っ払いの中年男性に、「その子は日本語喋れるのか?」「日本語をなぜ教えない、日本経済をバカにしているようになったら終わり」と、非難とも受け取れる言葉を受けます。

このような古典的な凝り固まった考え方の中年男性も多くいます。
なぜ多様性がこんなによしとされているのか、推進されているのか。それを考えることを放棄している大人が多いことを感じさせられます。

多様性について考える

わたしがこの本を読んで、印象的だったエピソードをいくつか紹介しました。
この本のテーマを一つ挙げるとすれば、「多様性」だと思います。
多くの企業でも、「多様性は重視すべき」と多様性を推進する動きが広まっています。

しかし、企業や社会がただ「多様性を進めよう」と呼びかけるだけではあまり意味がないなあと。
この本を読み、”多様性がなぜ良いのか”、”多様性っていいことばかりなのか”を自分で考えていく必要があると感じました。

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」は、”多様性が良しとされている背景”や”いいことばかりでない、多様性に存在するややこしさ”、”そもそも多様性とは何なのか”を教えてくれます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました